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● Bloomberg 岩手県大槌町(3日)
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ウオールストリートジャーナル 2011/4/5 9:11
http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/04/05/%E8%A2%AB%E7%81%BD%E5%9C%B0%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%82%8C%E3%81%8D%E3%80%81%E5%B9%B3%E6%99%82%E3%81%AE16%E5%B9%B4%E5%88%86-%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E6%8E%A8%E8%A8%88/
被災地のがれき、平時の16年分-京大推計
3月11日に発生した東日本大震災に関する多くの統計のどれを見ても、被害の甚大さは明らかだ。
現在のところ死者数は1万1600人、行方不明者数は1万6400人超に達している。
また、世界銀行の概算によると、復旧・復興費用は2350億ドル(約19兆7283億円)に上る見通し。
それに加え、京都大学の平山修久特定准教授らの推計で、今回の被災地域5県での津波廃棄物発生量が平常時の最大16年分に相当することが明らかになった。
この推計によると、今回の
被災地域5県の津波廃棄物発生量は約2670万トン。
これは今回の津波による廃棄物総量の推計を公表した初めての統計の一つ。
環境省は、この点について引き続き調査中としている。
また同推計によると、複数の町が町ごと津波に飲み込まれた宮城県では津波廃棄物は1400万トン超と、同県の平常時の合計ごみ処理量の約16年分に相当する。
これに加え、あと数百万トンの震災廃棄物が予想されるという。
入手可能な最新の統計である環境省発表の2008年統計によると、宮城県の年間の廃棄物処理能力は約80万トン。
環境衛生工学などが専門で現在、仙台を中心とする地域の廃棄物調査を行っている平山准教授は、津波被災地の世帯数と残存世帯数から廃棄物発生量を推計したという。
同准教授は建物が津波で破壊されて生じた木片やコンクリート片、家具の残骸などが1棟当たり約113トンとの推計を示した。
1995年の阪神大震災では廃棄物全体で2000万トンが生じたが、今回の震災では家屋からの津波廃棄物だけでその1.3倍になる見通し。
被災地でのがれきの撤去は数年を要する大仕事となることは確実。
平山准教授によると、
阪神大震災では通常処理能力の約8年分のがれきが発生し、
実際の処理に約3年を要した。
同准教授は、宮城県の場合はその2倍の時間がかかる可能性があることが示唆されていると指摘。
また、米国での米連邦緊急事態管理(FEMA)のような中央の災害機関が日本にないことも、廃棄物処理作業を難しくする可能性があるという。
こうした政府主導のシステムがないことから、地域の行政機関に処理作業の陣頭指揮を執る負担が生じる。
平山准教授は、適切に処理されなければ健康上のリスクにつながりかねない一部の廃棄物をはじめ、被災地域に広範に散らばる様々な廃棄物を注意深く分別する必要性に言及し、津波廃棄物に関連した多くの深刻な脅威が存在すると指摘した。
その上で、日本には津波廃棄物の処理方法の指針が存在しないと言及。
阪神大震災後、1997年に震災マニュアルが作成されたが、更新の必要があると指摘した。
日本では廃棄物に焼却炉や廃棄場を使用しているが、環境省は東日本大震災と津波からの廃棄物に関する計画はまだ発表していない。
救援チームが行方不明者の捜索に尽力していたこともあり、被災地でのがれきの撤去は始まったばかり。
しかし、平山准教授は大掛かりな分別作業を開始する前に、当局はいくつかの難しい判断を迫られると指摘する。
同准教授によると、当局者らは住民が実際に戻る地域と、復旧に値する地域を見極める必要があり、また、どのような町への復興を目指すのかを検討する必要がある。
記者: Yoree Koh
英語原文はこちら≫
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== 東日本大震災 ==
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