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● 「水棺」方式
● 「外付け熱交換機」方式
原子炉をどうしたらいいかで、いろいろな方式が検討されている。
まずは「水棺」方式。
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東京新聞 2011年4月8日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040802000039.html
福島第一原発 「水棺」冷却を検討
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福島第一原子力発電所の事故で、政府と東京電力の事故対策統合本部が、核燃料棒が入った圧力容器とその外側の格納容器の内部を水で満たすことで、原子炉を継続的に冷却する「水棺(すいかん)」を検討していることが七日、分かった。
水棺は原発事故の処理方法として研究されているが、実際に行われれば世界で初めてとなる。
政府と東電の関係者によると、福島第一原発では大量の高濃度汚染水が建屋内などにたまり、復旧作業が難航している。
対策本部は水を循環させて海水との熱交換で水を冷やす「残留熱除去系」の復旧を目指しているが難航している。
仮に復旧しても、海水を大量に注入したことで冷却機能が落ちている恐れもあり、水棺による冷却案が浮上した。
水棺では、圧力容器と格納容器をともに燃料棒の高さ付近まで水で満たし、高い熱を持つ燃料棒を冷やす。
燃料棒が破損して放射性物質が漏れるのを抑える狙いもある。
熱で蒸発する水は外部から注入。
燃料棒が冷めて取り出せるようになるまで、少なくとも数年は続けるとみられる。
同本部は、現在1~3号機で進めている格納容器への窒素の注入が終わった後で、1号機から作業に入ることを検討している。
格納容器は厚いコンクリートで囲われており、水を満たしても一般に強度の問題はないが、地震などで損傷していないことが条件。
2号機は格納容器の圧力抑制室に損傷の疑いがあり、汚染水が外部に漏れ続ける恐れがあるため事前チェックが必要となる。
水棺は、米国でも冷却水を喪失した重大事故時に取り得る手段として研究されている。
福島第一原発の事故に関しても、米原子力規制委員会(NRC)が水棺に言及。
「水の重さと格納容器の耐震性に留意すべきだ」と助言している。
1986年に原発史上最悪の事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリ原発は格納容器がなく、放射性物質を閉じこめるため全体をコンクリートで覆う「石棺」が行われた。
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あるいは、「外付け熱交換機」方式。
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佐賀ニュース 2011年04月05日
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1865228.article.html
上原元佐賀大学長 原子炉冷却方法を国に提案
放射性物質漏れを起こしている福島第1原発の原子炉の冷却方法について、元佐賀大学学長で海洋温度差発電研究者の上原春男氏(71)=佐賀市=が、外付けの新たなシステムを設けて冷却する方法を政府に提案した。
福島原発の復水器設計に携わった経験から政府の要請を受け、事故発生直後から協議してきた。
放射性物質の影響をできるだけ避けるために原子炉から離れた場所に熱交換器を設置し、海水を使って冷やす構想。
伊万里市のメーカーで熱交換器1基が待機状態に入っている。
提案した冷却システムは、新たに熱交換器を設置し、原子炉内に新たな冷却用配管を延ばしポンプで循環させる。
熱交換器内には別ルートで冷却用の海水を循環させて冷やす。
原子炉から来た水と海水は混ざらない仕組みで、海水は海に戻すことができる。
外部からの注水や既存のシステムを使った冷却では、放射性物質を含んだ汚染水が漏れだすなどの問題が起きている。
「漏れた経路や破損箇所の特定は難しく、復旧にも時間がかかる」
とし、現システムの修復より新規構築が利点があるとする。
実現までには
(1)東電や原子力安全・保安院などが計画を了承するか
(2)冷却水を循環させる配管を原子炉のどの部分と、どう接続するか-
などの課題がある。
東電から原子炉の設計図など詳細な情報提示がなく、詰める点も残っていると話す。
上原氏はエネルギー工学が専門。
海洋温度差発電研究のほか、発電の過程で生じた蒸気を冷却して水に戻す「復水器」(凝縮器)の専門家でもある。
震災発生直後から政府筋に助言を求められ、3月16日と4月3日には、政府と東京電力でつくる事故対策統合連絡本部(東電本店)で直接、冷却対策を提案した。
既に海洋温度差発電メーカー「ゼネシス」の伊万里工場では、冷却能力が高い「全溶接型プレート式熱交換器」1基が現地輸送に向けて待機状態に入っている。
上原氏は
「1基でも設置できれば、海洋汚染の度合いは軽減でき、原子炉を安定的に冷却する仕組みづくりの足がかりにもなる」
という。
1~3号機への設置を想定して、政府から要請があれば、追加生産に入る緊急態勢も取っている。
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にこにこニュース 2011年4月7日
http://news.nicovideo.jp/watch/nw50055
枝野長官、原発事故に対する設計者・上原春男氏の提案に言及
枝野幸男内閣官房長官は2011年4月7日の会見で、福島第1原発3号機の設計者・上原春男氏が4日、政府に「外付け熱交換機による原子炉冷却」に関する提案をしたことについて、
「提案があるということは承知している。あらゆる実現可能な手段について、前例にとらわれず取り入れられるものは取り入れるよう、指示を出している」
と答えた。
上原氏は福島第1原発3号機の設計者であり、プレート式冷却装置の開発者でもある。
政府の要請に応じ、原子炉建屋の外に熱交換機を設け、原子炉格納容器内を冷却するシステムを提案しており、6日に開かれた自由報道協会主催の共同インタビューでは、ニコニコ動画の七尾功記者がその詳細について聞いた。
七尾記者から、
「国外でも汚染水の排出と原子炉冷却が大きな課題となっていますが、上原春男氏が提案されている全溶接型プレート式熱交換器ですと、外付けで放射性物質の影響をさほど受けずに作業ができ、汚染水を発生させずに原子炉を冷却できるとされています。
長官、政府の求めに応じて4日に上原氏はこの提案をしたということですが、一刻を争うなか、現在どのような進捗となっているでしょうか」
と問われると、枝野長官は
「冷却をするための具体的、技術的な話については経済産業省、保安院、あるいは統合本部のほうにお尋ねいただければ」
とした上で、
「今のようなご提言、ご提案があるということは承知しておりますし、そのことも含めあらゆる実現可能な手段について、前例にとらわれず取り入れられるものは取り入れられるようにという指示を出しているところです」
と語った。
また、七尾記者の
「ひとつのアイディアで事態が大きく好転することはあると思います。
それでは特に大きな設備の採用後のお話でいいますと、採用した理由や経緯などについて、国内外に向けて情報の透明化を行うお考えはあるでしょうか」
という質問に対しては、
「それは必要なことだろうと思いますので、原子力災害対策の統合本部のほうに具体的なオペレーション、なぜそれを選択して他のオペレーションを選択しなかったのか、その都度、あるいはお尋ねがあればしっかりと説明するように指示を出したい」
と、答えた。
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== 東日本大震災 ==
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