2011年4月5日火曜日

東日本大震災(Ⅲ):豊かさの向こうに

_


● bobbin's tumblr より
 神戸大震災と東日本大震災の災害区域の比較
http://bobbing.tumblr.com/post/4003760724



 「日本は復興を急げ」
と言うが、無理。
 その理由を、首相のリーダーシップに還元してしまうような論調はどこでもみられるが、物理的にみて不可能なことは明白である。
 リーダーシップがあるからといって、地震はとめられないし、津波を食い止めることはできない。
 同じように、リーダーシップがあるからといって、電力を生み出すことはできない。
 分かっていながら、論調はリーダーシップさえあれば何でもできるようなことをいう。


ウオールストリートジャーナル 2011年 4月 1日 14:17 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_214591

【オピニオン】菅首相、日本を復興に導け

マイケル・オースリン:アメリカン・エンタープライズ研究所日本部長

 日本の東北地方に壊滅的な被害をもたらした地震と津波が起きてから半月が経過した。
 しかし、被災した福島第1原発での事故は危機的な状況が続き、約1万5000人が依然行方不明となっている。
 多くの避難者が生活必需品の供給再開を待っている。

 さらに悪いことに日本は現在、大規模な電力不足に見舞われており、当面続きそうだ。
 状況の制御には程通く、菅直人首相は今後数カ月、今まで以上の試練に直面するだろう。

 菅首相に対しては日本人はこれまで寛容な態度をとっていたようにみえるが、その一定期間が過ぎた現在、その指導力を疑問視する見方が強まっている。
 菅首相は、福島第一原発を運営している東京電力を非難しているが、自身の震災救援計画については明確なリーダーシップを発揮していない。
 共同通信の調査によると、政府の原発危機対応については60%近くが「評価していない」と回答している。

 菅首相はまだ、被災地に足を踏み入れておらず、数十万人が身を寄せている一時避難所も訪れていない。
 震災から約3週間が過ぎた時点で被災地視察が計画されたが、悪天候のため延期された。
 これとは対照的に被災者救援活動での自衛隊の奮闘に国民は感謝の念を抱いている。

 政治的な混乱が露呈したことで、被災地の自治体などから一段と辛辣な批判が出ている。
 福島県の知事は菅首相の震災対策にかなり疑問を差し挟み、原発事故についてより完全な情報開示を要請している。
 菅首相は震災と原発事故対策強化のため、前官房長官の仙谷由人民主党代表代行を官房副長官に起用した。
 これは賢明な行政上の措置であるかもしれない。
 しかし、菅首相が救援活動への積極的関与から離れるとの見方を強めることになる。

 震災と原発事故の規模の大きさからいって、恐らくすべてを菅首相に帰すことは不公平だ。
 1995年の阪神・淡路大震災後の自民党に比べ、現在の民主党政府はかなりうまく対応している。
 当時の対応は完全に機能不全状態で、自民党の権威も失墜した。
 さらに菅首相は当時の自民党とは違い、特に米国など外国から支援要請を即座に受け入れた。

 しかし菅首相は今後数カ月、二つの大きな、かつ関連した障害に直面する。
 電力と経済成長の問題だ。
 日本は今回の地震により、原子力・火力発電で2万メガワットの発電能力を失った。
 これは国内の電力供給の20%に相当する
 この電力不足により、自動車・石油化学・電子部品などのメーカーは生産を削減するか一時的に停止している。

 ゴールドマン・サックスによると、日本の自動車会社の1週間当たりの損失額は15億ドル(1250億円)。
 日本はアジアでは第2位の石油化学製品の生産国であるほか、半導体集積回路に使われるウエハー製造では世界の半分以上を占めている。
 これらのメーカーの減産や生産停止で日本経済は短期的には影響を受けないが、グローバル・サプライチェーンを通じて影響は拡散する。

 例えば一部のアナリストの間では、アップルのタブレット型端末「iPad(アイパッド)2」は、一部主要部品の日本メーカーが注文に応じられなくなれば、世界での発売が遅れる可能性がある、との指摘もある。
 電力が夏までに復旧しなければ、日本は急激な経済成長の減速に直面するだろう。
 国民はエアコンの利用を減らし、猛暑と湿気に対応することになり、日常活動も影響を受ける。

 過去10年間の日本経済の強みはグローバル・サプライチェーンに自らを組み込み、重要な産業部品を提供することで発揮されてきた部分が多い。
 活動停止が長引き、これらの部品供給が不足すれば、日本企業は顧客を失うリスクに直面する。
 日本企業の顧客はほかで供給元を探さざるを得なくなるためだ。

 韓国と台湾のほか、欧州の企業も日本の苦境で恩恵を受ける可能性がある。
 危機が後退すれば、日本のハイテク輸出の全般的な見通しは一段と暗いものになっている可能性がある。
 日本経済全体も問題が増えていることになる。

 今後、菅首相が直面する最大の試練は経済の立て直しだ。
 これまで彼が送っているシグナルは交錯している。
 ポジティブな面は、政府が子供手当を増額しようとする計画を見送る方針を示唆していることだ。
 子供手当は、政府の財源にとって不必要な支出と長い間批判されてきた。
 ただ心配なのは、菅首相が増税の可能性を否定せず、法人税についても40%から35%への引き下げ案を撤回することを検討していることだ。

 今回の危機を受けて日本の団結を示す例として挙げられるのは、ある世論調査でほぼ70%が増税に賛成している点だ。
 日本経団連会長でさえも法人税の据え置きを支持することを示唆している。

 これらの自己犠牲的な感情は称賛できるが、増税は日本が必要としているものではない。
 日本企業は今回の危機でいままで以上に競争力を付けなければならない。
 減税を実施すれば、企業は収益を設備投資や研究開発に振り向けることができる。
 また、日本はずっと消費低迷が続いており、所得税や消費税を引き上げれば、さらに個人消費が冷え込み、国内市場に焦点を当てている企業に悪影響が及ぶ。

 日本政府は、被災地に工場を建てたり製品などを調達するなど、被災地への投資を決めた企業に対しては、優遇税制措置を講じる必要がある。
 経済産業省も、地元の起業家に対し、被災地での小規模事業立ち上げを奨励すべきだ。

 もちろん被災者救援が終わり、復興が始まるまでにはまだ多くの時間がかかる。
 しかし、菅首相は、復興のための成長戦略を採り、財政逼迫を理由とする増税は行わないといった政策を積極的に行うことで、経済界・金融市場・世界などに力強いシグナルを送ることができる。
 菅首相の評価は、震災直後の混乱への対応だけではなく、日本をこの大災害から可能な限り力強く脱却させたかどうかで決まる。

原文: Lead Japan to Recovery, Mr. Kan




ウオールストリートジャーナル 2011年 4月 4日 8:51 JST
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Heard-on-the-Street/node_215506

【コラム】日本経済のカギは今夏の電力供給量=不足は長期化の恐れ

日本経済回復のカギは、電力消費がピークとなる夏にどの程度の電力を供給できるかである。

 現状では、日本の国内総生産(GDP)の40%を産み出す首都圏のピーク時の需要を満たせそうもない。
 首都圏は、日本企業の大半が本社を置き人口の3分の1を占めている。
 猛暑となった場合、電力供給量は需要の4分の3にとどまる見込みで、
 電力不足は数カ月、さらには数年に及ぶ可能性がある。

 現在のところ、計画停電や節電、産業用需要の減退のほか、暖房の要らない春となったことから、事態の悪化は食い止められている。
 しかし、今後の見通しは明るくない。

 第1に、福島第一原子力発電所の6基の原子炉のうち4基が廃棄されることになる。
 残りの2基も同様だろう。
 大震災後に運転を停止したり、それ以前に定期点検に入ったりした原発も、早期の運転再開について地元の了解を取り付けるのは難しそうだ。

 冷却機能のバックアップ体制や、地震、津波対策が不十分だったことから原発施設の安全性の強化には何年もかかり数十億ドルの資金が必要になるだろう。
 しかも、これまで注目されていなかった使用済みウラン燃料貯蔵プールの問題が、今では大きな懸念要因として浮上している。

 日本には1万3500トンの使用済み燃料があるが、そのほとんどが福島原発で危険性が露呈したような貯蔵プールで保管されている。
 電気事業連合会は昨年、今後10年間に同程度の使用済み燃料が発生すると予想している。

 2007年の中越沖地震から4年が経ったが、東京電力の柏崎刈羽原発では、7基のうち3基は今も運転を再開していない。
 8月には定期点検のため2基が停止する予定になっている。
 合計すると、原発の稼働の有無だけで東電の発電能力のうち23%が失われる
 これには、損傷している在来の発電所は含まれておらず、これらは東電の楽観的な見通しのように早急に復旧とはいかないかもしれない。
 水力発電所も電力不足や水不足から運転が困難になる恐れがある。

 天然ガスや石油などを燃料とする火力発電所は電力消費のピーク時のために使用されているが、原発は電力需要の変化に左右されないベースロードの需要を満たすためできるだけ継続的に運転される。
 電力に関しては、熱が冷める気配はない。

[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に 駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディーに紹介していく]


 明確に分かっている部分を継ぎ足していけば、ここ数年での経済復興などは、
 「まるでできない
ことは分かり切っている。
 なにしろ、電力すなわち、産業パワーが欠如しているのだ。
 傷つき空きっ腹になっているヤツに、根性だ、ヤレ! 
と言っているようなもの。
 リーダーシップだ、ヤレ!
って言ったって、満身創痍なのだ、日本は。

 東京で20%のパワーが失われているということはどういうことか。
 人間に例えて、20%の血液が失われたどうなる。
 こんなことはだれでもわかること。
 アメリカの科学者が言ったことのほうが、より正解である。

 「残念ながら、日本はこれから貧しくなる

 経済復興などやるな。
 もっている資産で耐えろ。
 耐え続けろ。
 傷を癒せ。
 まずは、傷を癒すこと。
 これが優先するはずだ。
 無理に動いてこれ以上血を体外に流すようなことはするな。
 日本は貧しくなれ。
 これまでは豊かになってきた。
 前の記事で「豊かさ=幸せ」の価値観が崩壊した、とあった。
 豊かさとは「経済的豊かさ」を指す。
 経済的豊かさは、もう「幸せ」という価値ではなくなっているという。

 歴史はウエーブである
 「豊かさの時代」の次は「貧しさの時代」である。 
 豊かさを求め続けた究極は
 「貧しさだった
てなところか。
 まるで「青い鳥」だ。

 「貧しさ」を楽しめ。
 いかに貧しさを楽しむかだ。
 貧しさの中から、明日を模索しろ。
 どうひっくり返ったって、経済復興などできはしないのだ。
 リップサービスなどに乗せられる事なかれ。
 貧しさといったってたかが知れている。
 明日の生活が脅かされるほど日本はヤワではない。
 日本は10年くらいの貧しさになど「ヘッ」とも思わぬ豊かさを蓄えている。
 豊かなものがビンボウになったところで、平常に戻るだけ。
 ビンボウがビンボウになれば死活問題。
 残念なことに、日本はそういうレベルにない。

 その豊かさを食いつぶしていけ。
 溜め込んだものだ。
 今度はそれを使ってみよう。
 貯めこむことばかりが能じゃない。
 「これが正常の生活なのだ」と思ってみればいい。
 失われた20年といいながら、20年も豊かに暮らしてきた。
 ビンボウな10年と言われても、充分やってはいける。
 さほどに豊かな日本だ。
 「ビンビウという名の豊かさを楽しめ
 いま、日本では
 「ビンボウ」という大義が、名分がぜひとも必要
なのである。
 でないと、変革ができない。
 小手先の復旧で終わってしまう。
 そうさせてはならない。

 向こう10年の貧しさのなかから、次の時代の核が生まれてくる。
 世界は日本に取り込まれている。
 それは何か
 「いったい、豊かさの向こうに何があるのだろう?
という疑問だ。

 その試練が、今日本を襲っている。
 腹一杯の銀シャリが食えないとき、人は何をするか。
 単純にくくって言えば、それが問。
 ちなみに、ケーキを食べればいいという答えも、麦を食えという答えもない。
 なら、答えは。

 それを身体で試せ、と歴史は言っている



video
● TBSニュース

 あのオイルショック以来の電力規制が行われる公算が大きくなってきた。
 これにより、経済界はすこぶる大きな痛手を受ける。
 産業の東京からの脱出が加速化される。
 人、モノ、お金が東京から、そして日本から逃げていく。
 オイルショックは一時の問題であったが、今回は違う。
 10年を単位として長期化していく。
 恒常的電力不足のなかで、
 「どのような社会生活を営むべきか」
が問われてくる。
 これはまだ手探りの一歩。
 問題は、これからどんどんと大きくなっていく。
 豊かな日本は影をひそめていく。


ロイター 2011年 04月 5日 15:07 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20437420110405

電力の使用制限する電事法27条の規制必要=海江田経産相

[東京 5日 ロイター]
 海江田万里経済産業相は5日午前の閣議後会見で、福島第一原子力発電所の事故などによる東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)管内の夏場の電力不足について
 「電気事業法27条による規制も必要だろう」
と述べた。

 法律に基づく電力の使用制限で、発動されれば石油危機時の1974年以来となる。

 海江田経産相は、同法による電力使用の制限について
 「過去に27条を発動した時と今の電力の需要構造も違っている。
 もちろん一般家庭に27条はあてはまらないこともある」
と指摘し、政府の電力需給緊急対策本部(本部長:枝野幸男官房長官)で議論する考えを示した。
 対策本部は「今週中に開くべく調整している」という。
 経済界との調整については
 「そこで政府としての方向性が出る。
 そこから経済界としっかり議論したい」
と述べた。


 「暗ら~いニッポン、そんなに急いでどこへゆく





== 東日本大震災 == 



_