2011年4月3日日曜日

イヌは生きていた

_

● 漂流するがれきの上から救出される犬=海上保安庁提供



河北新報 2011年04月03日日曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110403t13020.htm

「奇跡だ」荒れた海、3週間生き抜いた? 漂流の犬を保護

 宮城県気仙沼市本吉町末ノ埼の沖合約2キロの海上で1日午後2時ごろ、漂流する屋根の上に犬がいるのを、第3管区海上保安本部(横浜)所属の特殊救難隊が見つけ、保護した。
 犬は2日午後5時半ごろ、宮城県動物愛護センター(富谷町)に引き渡された。震災の大津波で海に流されたとすると、過酷な環境を3週間、生き延びたことになり生命力に専門家も驚いている。
 2管本部(塩釜)によると、行方不明者を捜索中の救難隊ヘリコプターが、犬を発見。
 潜水士が降下し、漂うがれきの上を逃げ回る犬を助けた。
 犬は体長約70センチの雑種のメスで、毛は茶色。
 黒っぽい首輪を付けていたが、飼い主の住所などは書かれていない。
 2日午後、保護した巡視船「つがる」から2管本部の巡視艇に移され、夕方に塩釜港に着いた。
 巡視船ではビスケットやソーセージを食べ、おとなしくしていたという。
 陸に上がると安心したのか、毛布にくるまれたままお漏らしも。迎えに来た県動物愛護センターの伊藤光市さん(52)は「ちょっとおどおどしていたが、思ったより元気で安心した。
 早く飼い主に返したい」と語った。

 宮城県獣医師会の高橋勝一事務局長は
 「一般論だが、水さえあれば人間の倍近い約2週間は生き延びられる。
 生命力が強い雑種だったこともあるが、過酷な環境を3週間も生き抜いたとすれば奇跡だ」
と話す。
 仙台市出身の獣医師で
 「野宿に生きる、人と動物」の著者中野真樹子さん(東京都)は
 「海水は塩分が強過ぎ、人間以上に犬には向かない。
 降り積もった雪を食べ水分を補給していたのでは」
と推測する。
 2管本部には「自分の飼い犬かもしれない」という問い合わせが2件寄せられているという。






● テレビ朝日







[◆ その後の話]


NHKニュース 2011年4月4日 16時48分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110404/t10015090421000.html

救助された犬 飼い主と再会

 津波で壊滅的な被害を受けた宮城県気仙沼市の沖合を漂流する住宅の屋根の上から3週間ぶりに助け出された犬の飼い主が見つかり、4日午後、再会を果たしました。

 今月1日、気仙沼市の1.8キロ沖合の海で、漂流する住宅の屋根の上に犬がいるのを海上保安庁のヘリコプターが見つけました。
 犬は、助け出されたあと、宮城県富谷町にある県の動物愛護センターに保護されていましたが、飼い主が見つかり、4日午後、再会を果たしました。
 飼い主は気仙沼市に住む50代の女性で、震災で自宅の一部が壊れ、飼っていた2歳のメスの犬の「バン」も行方が分からなくなっていたということです。
 ところが、被災した自宅でNHKのニュースを見ていたところ、「バン」によく似た犬が震災から3週間ぶりに助け出されたことを知り、名乗り出たということです。
 犬が着けていた茶色い首輪が決め手となって、この犬が「バン」だと分かったということで、「バン」は女性の姿を見ると、盛んにシッポを振ったりほおをなめようとしたりして喜びを表していました。
 県の動物愛護センターによりますと、「バン」は、保護されている間、出されたペットフードを残す日もありましたが、元気な様子だったということです。
 飼い主の女性は
 「元気な様子でよかったです。これから帰って大切に飼いたいです」
と話していました。





== 東日本大震災 == 



_