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● 東京電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)(2008年~)
「Garbagenews.com」というサイトに電力量の推移をグラフ化したものが載っていました。
分かりやすく説明されており参考になりましたので、勝手ながらコピーさせてもらいました。
『
Garbagenews.com 2011年04月03日19:30
http://www.garbagenews.net/archives/1725636.html
東京電力管轄内の最大電力需要の推移をグラフ化してみる
先に
【東京電力、現在の電力使用状況グラフを公開】や
【東電、今夏の電力需給予想を発表・ピーク時で5500万kWの需要に対し供給は4650万kW】
でも説明しているように、先の東日本大地震によって東京電力・東北電力管轄内の発電所は大きな被害を受け、電力供給力の回復がままならない状況にある。
特に東京電力管轄内は福島第一原発周りの事態が収束に向かう気配を見せず、非常に流動的な状態といえる。
電力の供給不足から、需要ピーク時に一定区域内を停電させる「計画停電(輪番停電)」で事を凌いでいる次第だが、季節が春めいてきたことで暖房機器の電力使用量が減少したことや、企業などの節電対策により、ここ数日はどうにか計画停電そのものが実行されずに済んでいる。
しかし夏になると冷房により再び電力需要は増え、供給力の回復が間に合わず、計画停電が再度行われるとの懸念がある。
そこで今回は、東京電力管轄内における月単位の最大電力需要の推移を調べ、今後の動向を推し量る材料を創ることにした。
概要的なデータならば、例えば
【でんきの情報広場内情報ライブラリー】にある
【FEPC INFOBASE 2010(PDF)】などで取得は可能。
しかし概算的なものでしかなく、また東電だけのデータは見当たらない。
そこで、【電力統計情報】内からデータを抽出し、独自にグラフを創りなおすことにした。
具体的には「III 需要」から「最大電力」の項目を選び、「最大発生日時」「総合計」を選択。
そしてそのままさらに「VI 電灯電力需要実績月報」から「用途別使用電力量」を選んで、「使用電力量」を選択。
その上で「東京(電力)」「2000年」~「2011年」の期間選択を行い、データを抽出する。
記載されている数字は各月毎の最大電力需要時における需要電力(単位はMW)なので、東電が現在提供している使用状況グラフの単位である万kWに合わせるよう換算する。
記事執筆時点で2011年1月分までデータが用意されているので、2000年1月以降における、東京電力管轄内での月単位最大電力需要の推移を示したのが次のグラフ。
● 東京電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)
過去10年間ほどにおいては、2001年のやや減退する時期をのぞけば、大体各月のピークは4000万kW~6000万kWで安定していることが分かる。
しかしこれでは正直分かりにくい。
そこで過去3年間+今年の1月分(※今後付けたしていく可能性を考慮したもの)に絞り、年単位で折れ線グラフを別個用意し、重ねたものが次の図。
矢印は現在用意されている最新のデータ、2011年1月におけるピーク時のものだ。
● 東京電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)(2008年~)
各年・各月の気温などの各種条件により電力需要は変化するが、
大体7月~8月がピークになる
ことが分かる。
4月~5月は比較的少ない
が、これは冷房も暖房も使わないため。
また、仮に去年と同じ電力需要だとしたら、6月には早くも本格的な計画停電による供給制限を行う必要が生じてくるのも分かる。
「現時点の電力は昨年までとは随分事情が異なるけど、夏はどうなるのだろうか」
という疑問が沸いてくる。
そこで、毎年の「3月のピーク時における最大需要電力」と「最高月(=その年最高)のピーク時における最大需要電力」を比較し、どれだけ年間ピークと3月のピークに差があるのかを計算したのが次のグラフ。
2001年がやや特異値となっているが、それ以外はほぼ1割強~3割の範囲に留まっている。
● 東京電力の各年における、月単位最大電力需要の差異(3月と、その年の最大需要月)
このままの利用状態が続けば、3月の(地震発生後における)最大需要電力3730万kW(※概算)の3割増しで4850万kW、現時点で電力未達地帯の復旧分なども合わせて考えれば、
東京電力の試算5500万kWが妥当な線
であることが分かる。
そして現時点で東京電力が試算している、
7月末までに回復しうる電力供給量は4650万kW。
単純計算で850万kWもの不足となる。
ちなみに「電力需要”量”」から概算すると、
大体1/3が民間住宅向け、
2/3が商業・工業などの業務向け
となる。
経済復興のためにも極力商工業への負担を避けることを考慮すれば、1/3の民間住宅向け部分での惜しみない協力が必要。
去年の夏のような猛暑が来ないことを切に願いたいところだ。
そして恐らくは、このまま現時点での試算以上に需給の改善が見られなければ、
今年の夏は連続しての計画停電が行われることになるだろう。
』
[◆ 追補版:2011年04月11日]
『
Garbagenews.com 2011年04月11日12:00
http://www.garbagenews.net/archives/1732794.html
先に【東京電力管轄内の最大電力需要の推移をグラフ化してみる】で東京電力管轄内の最大電力需要の推移をグラフ化すると共に、その分析を行ったところ、いくつかの意見をいただくことができた。
また当方側でも「追加した方が良いだろう」というものもあり、今後夏に向けて検証データを積み上げておくべきだとの判断から、今回追補版としていくつかのグラフを生成・再構築することにした。
東京電力管轄内の最大電力需要に関するデータの取得方法は、前回の記事と変わらない。
現時点ではデータの更新はされておらず、最新のものは 2011年1月分。
需要推移のグラフは、今年2011年の分を継ぎ足して(きりの良い)計5年分となるよう、過去のものは2007年から反映させることにした。
● 東京電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)(2007年~)
↑
【東電、計画停電は6月3日まで「原則不実施」】でも伝えたが、6月3日までは原則的に計画停電は不実施に相成った。
それ以降の電力需給がひっ迫する期間においては、計画停電では無く電気事業法第27条の活用をはじめ、あらかじめ各需要帯が節電を行う事で対応する(させる)予定。
その観点では、いわゆる「エコポイント」制度の導入による省電力家電の普及促進は、(このような事態に陥るとまでの想定はなかったものの)先見の明があったと評せざるを得ない。
続いて東京都における平均気温と電力需要の推移を合わせたグラフを生成する。
平均気温は以前定点観測を行っていた日照時間(【ひとまず定点観測終了・日照時間をグラフ化してみる(2010年11月分)】など)のデータ取得元でもあった、【気象庁の気象統計情報のコーナー】。
ここから該当する年の平均気温を順次取得し、最大電力需要と合わせていく。
月単位の動きとの連動性が分かりやすいよう、年単位で生成したのが次のグラフ群。
今年2011年はまだ1月分しかデータが無いので、グラフは作成しない。
また、冬季においては平均温度が低い方が、最大電力需要が大きくなるのが理屈であることにも注意してほしい。
● 東京電力の月単位最大電力需要と東京の月次平均気温(2007年)
● 東京電力の月単位最大電力需要と東京の月次平均気温(2008年)
● 東京電力の月単位最大電力需要と東京の月次平均気温(2009年)
● 東京電力の月単位最大電力需要と東京の月次平均気温(2010年)
記録上、2007年は7月が冷夏、2009年は8月が冷夏となっている。
特に2009年の冷夏は、夏季の最大電力需要が低めに抑えられている(最初の5年分グラフにおける緑色の線)ことで確認できる。
一方で猛暑どころか豪暑とまで言われた去年2010年における最大電力需要が、7月から8月にかけてはむしろ2008年より低めに抑えられているのは、経済の停滞(大口電力の減退効果が大きい)と省エネ家電などによるものと考えて良いだろう。
もっとも2010 年は残暑が9月まで続き、8月とほぼ変わらない高い水準にあるのも特徴的な動きなのだか。
●2001年の特異値
もう一つ補完しておくべき話として、2001年の特異値の問題がある。
● 東京電力の月単位最大電力需要(万kW、最大需要時)
厳密には2000年後半から2001年前半において、閑散期の値が異様に低いものとなっている。
これについては幾つかの要因が合わさったものと思われる。
すなわち、
・不景気の時期でもあり、大口電力の消費が減退している
・気温が前年に比べて高めに推移したことによる暖房需要の減少
(【2001年4月分 電力需要実績(確報)】より)
・2000年3月から導入された、大口需要家に対する小売り自由化の影響
などを起因とするようだ(「最大電力需要」であり、「電力需要量」ではないことに注意)。
【気象庁の長期予報】を見る限りでは、平年より高い気温になる可能性が高いとの予報が出ている。
2010年レベルの暑さになるかまでは見当もつかないが、暑さによる電力需要の高まりは十分に想定しておくべきだろう。
』
また、同じサイトに自動販売機の夏場対策がありました。
これもニュース性があります。
『
Garbagenews.com 2011年04月11日19:30
http://www.garbagenews.net/archives/1732947.html
「自販機はすでに電力ピーク時に9割電力カットの対策済み」
日本自動販売機工業会発表
日本自動販売機工業会は2011年4月11日までに、全国の缶・PET(ペットボトル)清涼飲料自動販売機がすべて「ピークカット機能付き」の自動販売機「エコベンダー」化していることを発表した。
夏季の電力需要ピーク時に冷却運転をストップする仕組みで、いわゆる
「電力消費シフト」機能
を備えているもの。
この機能によりピーク時の使用電力は「1台あたり17W」に過ぎないとのことである(【発表リリース、PDF】)。
「エコベンダー」とは1995年から電力会社と共同で開発普及させてきた、自動販売機の冷却の仕組み。
夏の昼間における電力消費量の需要増加は【東京電力管轄内の最大電力需要の推移をグラフ化してみる(追補版)】などで伝えている通りだが、この電力需要増加に対応するため、缶・PET清涼飲料自販機においては、
・7~9月の3か月間の平日が対象期日
(需要ピーク月、休日は工場などが休みのための電力需要は減る)
・電力需要の少ない午前中から午後1時まで商品を強めに冷やす
・電力需要の多い午後1時~午後4時は冷却機の運転を停止する
・停止時間の際に使う電力は、紙幣や硬貨の識別に使う電力と待機電力のみで、1台あたり17W
(従来電力消費量の9割減)(比較例:棒形の蛍光灯が20W~40W)
という仕組みが組み込まれており、夏季における電力浪費の懸念はほとんど無いとされている。
また、この機能(ピークカット機能)は自動販売機に内蔵されるマイコン(ICチップなど)でカレンダー制御されており、出荷時設定となっている。
また、屋外などに設置されたあと、この機能を解除することは出来ない。
他にも【飲料販売機な・る・ほ・どBOOK!(PDF)】や【TEPCOの紹介ページ】、【高度情報科学技術研究機構に収録されている論文「自動販売機の現状とエネルギー対策」】によれば、
・商品自体を蓄熱材として活用し、コストやスペースの問題を解決(蓄熱槽を使わない)
・断熱材(硬質発泡ウレタン、真空断熱材)を強化して放熱ロスを低減
・自販機内部の断熱材で仕切られた部屋に1台ずつ冷却ユニットを設置し、冷却効率を上げている
などの機能改善を推し進め、現在の消費電力減少分につながっているとのこと。
今件リリースは冒頭に
「夏場には相当の電力が不足することが予測され、自販機の稼動を停止すべきとのご指摘も受けております」
という記述があるように、さる政治家からの
「自動販売機(の配置、電力利用)を節電のために見直すべき」
との発言があったことなど、一部方面からの意見に対する回答とも受け取れる。
つまり
「自動販売機が無駄に電力を使っているようなイメージがあるが、
ピーク時対応策はすでに15年以上前から進めており、今では全部対応済みですからご安心を」
との意味合いを持つものと考えられる。
分かりやすい表現なら「こんなこともあろうかと」というあたりだろう。
先の東日本大地震の際には、多くの自動販売機が
「災害時情報発信自販機」や
「災害時無償提供自販機」
としての役割を果たしている。
見た目だけでなく、実情までを把握した上で、判断を下したいものだ。
ちなみに【2009年末自販機普及台数及び年間自販金額】によると日本国内の自販機数は約520万台。
上記グラフやデータから逆算するに1台あたりの平均電力需要は約170W。
通常時の電力需要は約90万kW・
ピーク時は約9万kWにまで減少する
ことになる(もちろんこれは「全国の」自販機における値)。
』
「分かりやすい表現なら「こんなこともあろうかと」というあたりだろう。」
というセリフがあります。
これ確か、「はやぶさ」で使われていたセリフですよね。
はやぶさはこの「こんなこともあろうかと」というセリフを幾度となく繰り返しながら地球に戻ってきて、クーメラ砂漠の空で、見事な花火をなって消えていった。
福島第一原発では「こんなこともあろうかと」がどうもことごとく、裏目に出ているようである。
でも、自動販売機というのは進んでいるのですね。
勉強させてもらいました。
まさか
「災害時情報発信自販機」や
「災害時無償提供自販機」
になっているとは、知りませんでした。
== 東日本大震災 ==
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